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へんなひとインタビューvol.1  ウチダゴウというひと

  • 執筆者の写真: Minori Sunada
    Minori Sunada
  • 2014年12月19日
  • 読了時間: 6分

ウチダ ゴウ Go Uchida

詩人

グラフィックデザイナー

ブックパッカーのアンテナサイト 店主

めんどくさがりのリスク回避型人生

へんなのは僕のせいじゃないよ の巻

松本市民芸術館が刊行するフリーペーパー「幕が上がる」に自作を連載中で、スコットランドでの個展を終え、ついこないだまで呪文を売ってたウチダゴウさん。

へんであることは、彼であること。

でも彼ののぞみは、へんであることでは決してない。

めんどくさくないこと。

リスクがよりちいさいこと。

考えに考えた選択の積みかさねが、へんな彼をつくってしまった。

―ゴウさんは、松本に来て何年になるんですか?

ゴウ:5年になります。いつも仲良くしてる県外からの移住組のなかでは、もう古株だな! って、こないだ気づきました。

2008年に東京でブックパッカーというイベントを立ち上げて、その活動拠点となる場所を探してました。一年後の2009年に松本に移住。ちょうど結婚というきっかけもあったし、もともと親が転勤族で故郷らしい故郷もなかったので、東京という土地への執着もとくべつなかった。

あの頃はまだ、NHKの「おひさま」とか、映画になった「岳」とかが出てくる前のことで、世の中のひとも松本という街にぜんぜん感心がなかったんだけど、僕は毎年松本には遊びに来てたから、この街の良さは知ってました。

ただ、移住を考えだしてからは、単に遊びに来るというよりは、「住む」という視点で街を見るために何度か通いました。

―「住める」って思ったのはどうして?

ゴウ:開智小学校の駐車場に車をとめて、降りたときね、

「あ、ここかも」と思った。街の雰囲気でね。

松本のにおい

―松本の雰囲気ってどんなものでしょう

ゴウ:う~ん。うまく言えないんだけれど・・

「松本」という街をこうみせよう、とか、こういう街にしようとか、そんなことしなくても、なんか「松本」がにじみでてるかんじ。見ためがどうっていうよりは、においに近い。松本のにおい。

住んでる人のアイデンティティがとても強いよね。

スコットランドのエジンバラに行ったとき、松本と共通するものを感じました。

排他的と言ってしまえばあまりにネガティブだけど、「かんたんには流されないぞ」みたいなスタイルが、松本のかっこよさだと思う。

おれたちは、こうだ。っていう。

そのスタイルのなかに、入って来れるひとだけが住める街。

それは僕の性にとても合っていて、松本が発展することはのぞむけれども、無差別に賑やかさが増して、街の持つクオリティが落ちることは本意じゃない。

―松本には永住するつもりですか?

ゴウ:よく聞かれるんだけど、ぜんぜんわからない!

職業選択として、詩人

ー以前、僕は受注生産で詩をつくるから、お金にならない詩なんか書かないとおっしゃってたのが、けっこう衝撃的でした。

ゴウ:はい、お金にならない詩は書きません。というのは、お金を儲けようとか、もっと稼ごうとかって意味じゃないよ。

僕の書いた詩を誰かが読んでくれて、その詩にお金を出して買ってくれる。

お金を払っても、読みたいと思ってもらえる詩を書きたい。

商品価値のある詩。

大衆に迎合するというわけでも当然ない。

こういうのは好きですか?おもしろいですか?

と投げてみる。

おお、反応がいいぞ!じゃあ、こういうのも好きだね?

こういうのは?

あ、だめ・・?

というぐあい。

読むひとのきもちは、どんなかなぁ。どんな詩を読んだら、おもしろがってくれるかなぁ。そういう意味で、テーマをくれたら詩をつくるかたちが多いから、受注生産ってこと。いつも心のなかに詩が溢れていて、伝えたいことがほとばしってーーというタイプの詩人は多いかもしれないけど、僕のばあいそうじゃないんだ。

そういう時期もあったけどね。「空き地の勝手」がその最終形かな。

―はじめに、詩を書くようになったきっかけは何だったんですか?

ゴウ:高校生のころからだったかなぁ。

もともと、詩を読んだり書いたりするのが好きっていうより、字を書くのが好きだった。

しばらくは、詩を好きなひとたちとお互いの作品を評価しあったり、朗読会なんかもしたりしてたんだけど、あんまりおもしろくなかったんだ。

世界の人口のうち、そういう類のひとってほんの一握りで、圧倒的に多いのは詩なんて興味もないひとたち。僕はそっち側の圧倒的に多い種類のひとたちに向けて発信していくほうが、そのひとたちに共感してもらえたときのよろこびがうんと大きいはずだと思ったから、表現する場所を変えたんだ。

―詩人としての魅力はさることながら、発想力や洞察力がビジネスマン。

きっと、一般企業にゴウさんみたいなひとがいたら、とてもありがたがられるでしょうね。

―どうだろう。就職したことないからわかんないけど、まぁ、ちょっと浮いちゃうだろうね。イトカワみたいな。太陽系のなかにはいるんだけど、ちょっとみんなと違う、イトカワ・・。

それでも、大学を出るときは就活もしたんですよ。

編集社とか大きな企業に入って、がんばって出世して、収入も安定して。家庭を持ってマイホームを建てて。それから、ある程度の年齢になったら、脱サラしてやりたかった詩のことをやる。

それとも、僕はやっぱり今もこれからも詩が書きたいのだから、最初から詩のことをやるのか。

真剣に、一生懸命考えました。

考えに考えた結果、安定を知ってしまったあとに新たに挑戦を開始して、苦労する勇気なんて僕にはないってことになった。そんなのリスクが高すぎる!

だったらはじめっから苦労するほうが絶対めんどくさくないって。

僕はひどいめんどくさがりなんです。

何かやる理由も、めんどくさいから。

やらない理由も、めんどくさいから。

凝り性なので、一度始めてしまうと手を抜けないから、何でもめんどくさいことになる。DIYなんかも、めんどくせ~と言いながらやっています。

―最近、興味のあることはなんですか?

ゴウ:ここ数年、亡命について調べています。亡命ってどうやるんだろうって。

なんとなく、そのうち日本という国家が僕を追い出すんじゃないかって気がする。

さっき、松本に永住する気があるかって聞かれたけど、松本とか松本じゃないとか以前に、日本から脱出することを考えてます。

あ、あと、ウィスキーにも興味があるよ。

お正月に、こないだ奮発して買ったハイランドパークの23年を開けるのが、ひそかな楽しみ。

松本アイスからウチダゴウさんへ

このひとは、ほんとうにへんだと思います。

へんでなければ、何なんでありましょう。

もしかして、まじめとへんは表裏一体、もしくは同義語なのかもしれません。

真剣であればあるほど、個性は光ってしまうのです。

リスク回避のためのチャレンジ。

堅実であるための発想の転換。

ゴウさんというひとにあっては、磁石のSとSが、油と水が、犬と猿が、くっつくどころか大きな価値を生み出すのですから、とても興味深いです。

松本アイスはこれからも、ウチダゴウさんのへんな松本暮らしを、見つめつづけていきたいと思います。

してきなしごと その2.jpg

        ゴウさんの仕事場

 
 
 

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